ディーセント・ワーク

三度の飯より映画が好き。三度の飯を食える人権が好き。

【感想】「北欧に学ぶ小さなファミニストの本」

スウェーデンの児童向けフェミニズム入門書「北欧に学ぶ小さなフェミニストの本」(作:サッサ・ブーレグレーン  訳:枇谷玲子)を読んだ。

新聞でG8サミットの写真を見た10歳の少女エッバ。「世界の権力者」と題された写真に並ぶ首脳が全員男性(当時)であることに疑問を抱き、聡明な従妹やフェミニストの祖母に質問しながら、フェミニズムについて学び、考え、行動していく構成になっている。
100ページ余の短い中に必要なことをぎゅっと収めた本で、中でも女性の権利獲得運動の歴史にかなりのページが割かれている。とはいえ児童書だけあって平易な文章で読みやすく、 岩崎書店のHPでは小学校高学年向けとなってるけど、たぶん10歳くらいでも読めると思う。
逆に言えば、既に性差別やフェミニズムに関心があって勉強しているような子には食い足りないかな。

もう一つ大きく取り上げられているのは容姿イメージの問題。
鏡に映る自分の姿を見て、エッバはこんな風に自信と不安の間を揺れ動く。

わたしの体からは、わたしの匂いがする。私の体は――ごつごつしてて、傷やしみのあるひざもすべて、わたしのものだ。
中身だって、そう、わたしのもの。わたしの思考も感情も記憶も、全部が慣れ親しんだ、わたしのもの。
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こうして、わたしはわたしのままでいられる。当たり前のこと。ダメな理由なんて、ない。まわりであれこれ言ってくるのは、どこのだれ? わたしに別の自分にならなくちゃ、と思わせるのは。わたしはこの世の中に、ふさわしくないんだって、思わせるのは。 


性差別に怒りを覚えたエッバがすぐに学校の仲間たちと「フェミ・クラブ」を作って議論したり、おそらく中学生くらいの設定である従妹のヨリンダが下着のポスターをやぶる抗議運動に参加していたりと、世の中おかしい!と思ったら行動するのが当然という前提に日本との大きな違いを感じる。
その一方で行動できない人々に対するフォローがあまりなされていないので、全体的に少しマッチョな印象は受けてしまった。
あと、巻末の用語集で「ジェンダー」が「性別」の二文字で説明されていたり、所々ツッコミどころもある。(完全に間違った説明だし、そもそも「性別」を、だれが、何によって判断するのか、それ自体が大問題でしょ!?)
翻訳で残念な点は、エッバ始め少女の台詞がいわゆる"女言葉"になっていることで、これは本のテーマからしてもエッバのキャラクターからしても相応しくないと思う。

といったわけで不満点もありつつ、性差別を感じてるけど言葉にできない、怒っていいのか、批判していいのか分からない子どもたちへのエンパワメントにはなると思った。