ディーセント・ワーク

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恐竜界にも動物解放の流れ?「ジュラシック・ワールド 炎の王国」「ランペイジ 巨獣大乱闘」ネタバレあり

ジュラシックシリーズの最新作、「ジュラシック・ワールド 炎の王国」を見てきた。

www.jurassicworld.jp


(以下、紹介する2作品のネタバレあり)

予告の火山爆発どかーん! クリプラは恐竜ちゃんを助け出し、噴火から逃げ切れるのか!?みたいな展開は最初の30分ほどで、実際には今までのシリーズとかなり毛色の違う作品だった。

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ジュラシックパークであんだけ痛い目見たくせに、前作でまたも恐竜を使ったテーマパークをつくり、またも人間の愚行によって大惨事を招いてから数年後。恐竜たちが残されたテーマパーク「ジュラシック・ワールド」の跡地では、火山活動によって恐竜が再び絶滅の危機に瀕していた。
前作では恐竜を商品として扱う拝金主義者だったクレアは、今は改心して恐竜保護団体で働いており、恐竜監視員だったオーウェン(クリプラ)を説得して仲間とともに現地へレスキュー活動に向かう。
のだが、これは恐竜たちの密売をもくろむミルズの罠だった。そのことに気付いた一行はなんとか密売を止め、恐竜たちを救おうとするのだが‥‥。

ということで、予告プロモーションの火山推しを意識した「炎の王国」より、原題「Fallen Kingdom(堕ちた王国)」がふさわしいお話で、動物の権利に関心のあるものとしては結構興味深く見た。
ファンからは評価の別れる作品だろうけど、個人的にはわりと好きかな。

ただ、そもそもこのシリーズのコンセプトは「生きて動く恐竜を見たい!」であり、どんだけ言い訳を重ねても、好奇心のために恐竜たちを蘇らせてしまったテーマパーク創設者と同じ欲望が根底にある。
それだけに、今回の物語的なモチーフ(動物の権利/開放)と、作品のコンセプト(見世物的な好奇心)が矛盾してしまって、ちぐはぐな印象を持ったのも事実。
矛盾が最も顕著に表れているのが、人工的に開発された「インドミナス・レックス」の扱い。最も人間の身勝手に振り回された被害者のはずなのに、前作でも今作でもひたすら恐ろしい悪として描かれ、インドミナス・レックスを倒す場面がクライマックスの見せ場となっている。


このアンバランスな感じ、最近他でもみたな~?と思ったら、5月に公開された「ランペイジ 巨獣大乱闘」だ。

wwws.warnerbros.co.jp

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ロック様演じる主人公(霊長類学者)は動物にしか心を開かない孤独な男。過去にいろいろあって密猟を心から憎んでおり、人間よりも動物と心を通わせている、気は優しくて力持ちを地で行くキャラクター。
こちらも企業が金のために遺伝子改良しちゃった巨大ゴリラを助けようと、仲間とともに救出へ!というお話。映像的なダイナミズムは素晴らしく、動物の表現も魅力的で、ロック様の動物愛も非常に伝わってくる。
だから途中までは「やべ~!私のための映画だ!本年ベスト!!!最高!!!」な勢いだったんだけど、これが後半に入ったくらいで全然違う話になって行く。

というのも、この作品の原案は、動物が街を大暴れする古いアーケードゲーム
なので最終的にはゴリラたち巨大動物に街ぶっ壊し大会をしてもらわなくちゃいけないし、せっかく何頭も巨大動物を出すからには対決してもらいたい訳だ。
そんな作品コンセプトを満たすため、あんなに動物好きだったロック様が途中から「あいつとあいつを戦わせてる間に逃げようぜ!」なんて超動物虐待なことを言い出したりする。


ってことで、両作品とも登場人物や作品そのものの倫理観がだいぶ矛盾する結果になっているのが残念。
まあ、珍獣を見せたい系の娯楽大作でも、動物の権利に無関心ではいられない時代になりつつあるってことですかね。少なくともアメリカでは。