ディーセント・ワーク

三度の飯より映画が好き。三度の飯を食える人権が好き。

備忘録「菊とギロチン」「ザ・プレデター」「焼肉ドラゴン」「スカイスクレイパー」感想

前回に引き続き、溜まってるのでどんどん行きましょう。


菊とギロチン

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大変な傑作だったので、この作品についてはまた改めてしっかり感想を書きたい。とはいえ決して見やすい映画ではなく、おかしなところは沢山あって、思想的にも好き嫌いが分かれることは確実。だって、アナキストの映画が万人に好かれる端正なものでどうすんだよ!?
革命運動においても活動家の大半はナチュラルにミソジニストであり、「みんな平等」の"みんな"に女が含まれていないことがきちんと描かれている。だからこそ女たちは、人権ではなく女性の権利を訴える必要があったのだ。
「左翼」を主人公とした大半の映画はその点をオミットするか、「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」のように女性差別的な視点のまま作品にしていて罵声の一つも浴びせたくなってしまうので、「左翼映画」というジャンルがあるなら、そのエポックになって欲しいと感じる作品だった。


ザ・プレデター

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前評判の通りめっちゃBLでめっちゃBLだった。なにこれ。
お話は穴だらけだし演出もそこまで上手くないグズグズな映画ではあるんだけど、なんとも抵抗し難いチャーミングさに溢れている。おかげで、こういうジャンルの映画なのに誰も死なないでくれと思うし、見終わるとどこか心がホッコリした気持ちになる。※個人の感想です
SFホラーというより男たちのチーム映画だと思うけど、その割には女性キャラが都合のいい役回りになっていなくて、そこも好感が持てた。面白いとかよく出来てるってより、好感が持てるんだよね、全体的に。子どもの扱いはさすがにどうかと思ったけど。あとウーピー・ゴールドバーグは怒っていい。


焼肉ドラゴン

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1970年代初頭の焼き肉屋を舞台に、かつてあった在日朝鮮人・韓国人コミュニティを描いた作品。今この時代にメジャー作品として映画化できたことをまず評価したい。
ただ、小さな人々の営みを通して社会情勢を見せる作品に必須である実在感が希薄で、あまり乗れなかった。元になった舞台から映画化するにあたって上手く変換できていない部分が多いと感じる。
あの町並み自体が非常にセット臭く感じさせるし、冒頭のナレーションで「いつもうるさくて…」と言ってるわりに静かなので、あまりコミュニティって感じがしないんだよな。モブが圧倒的に足りない。
あと、大泉洋真木よう子の生足にすがりつくシーンで足をはっきり見せなかったりと、ディテールをちゃんと見せない部分が所々あり、これも実在感を削いでいると思った。あそこは井上真央の豪快なキスシーンよりもっとずっと重い意味があるんだから、ちゃんと見せないとダメでしょう。
ただキャストは全体的に良くて、特にキム・サンホは表情ひとつ、セリフひとつで本当にいろんなものを伝える奥行きのある演技をするので心底脱帽した。戦争と侵略の歴史部分を日本人キャストではなく彼一人に委ねたのは作りとしても誠実だと思う。


スカイスクレイパー

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ほんと申し訳ないんだけど、今一つな体調で見に行ったら始まって10分くらいで寝てしまって、起きたらもうビルが大炎上してた。途中20分くらい熟睡してたかな…。ごめんよ。
でも、おかげで説明部分を飛ばしていきなり見せ場に行けたので結構楽しかった。
予想を超えることは特に起こらないんだけど、観客が期待していて見たいものを見せてくれる水準には達している。妻が軍医という設定なのでやたらに強く、家族の絆は筋肉で守る!って感じも微笑ましかった。
終盤の展開がやたらダクトテープ推しで、ロック様が「ダクトテープがあれば何でもできる!」と言ったりするんだけど、映画はダクトテープで何でも解決するというのは映画ファンの世界的な共通認識(ネタ)なのかね。